top of page
「透 明なま ま息し て」
2023年3月4日〜4月2日
会場: open letter
展示上演: 山本ジャスティン伊等 (Dr. Holiday Laboratory主宰)
展示企画・空間構成: ordinary sculpture
写真: マコトオカザキ
本展示開催前に行われたインタビュー記事はこちら
本展示は村上による作品、ordinary sculpture(山本卓弥)によって選定・配置された家具、山本ジャスティン伊等による映像・音声作品および指示書で構成されている。
open letterは家の一部を改装したギャラリーである。その空間の特性を生かし、ギャラリー内に家具を配置することでギャラリーとして使用されている空間を部屋化した。その後、部屋の家具の配置に合わせて村上の作品と山本ジャスティン伊等による映像作品をインストールした。
展示会期後半より、出来上がった展示空間を起点に山本ジャスティン伊等による作品がいくつか追加された。以下が追加された作品の詳細である。
1. 音声作品(会場内のソファに座ると微かに聞こえてくる。)
内容の詳細は後日更新予定
2. 「展示の使用法」として記された6種類の指示書
指示はカードに手書きで記されており、投げ銭をすることでカードを1枚取ることができる。
指示書の内容は以下の6つ。
①この部屋に入ってきた時のあなたに、今のあなたの存在を気づかれないように振る舞ってみること。
②あなたが記憶している最も古い他人の名前を思い出すこと。あなたにしか聞こえない声でその名前を呼び、その唇の動きが、その名前の持ち主に届いたと思えるまで繰り返すこと。あるいはそのような唇を発明すること。
③この部屋を出る時のあなたに、今のあなたがまだ部屋にいると感じられるように振る舞ってみること。
④あなたが記憶している最も親密な日の風景を思い出して、展示室の壁に、ちいさく書き込むこと。思い出すことは、まだ起こっていない出来事でもよいし、書き込むものは必ずしも文字でなくてもよい。これからそれを見るひとが、あなたが感じている親密さを微かにでも感じられるように工夫すること。
⑤天井に張られた糸の一本を摑む。あなたの体温が滲んで、糸がそこで切れる、あるいは糸が自分のからだの延長だと感じられるようになるまで。
⑥展示空間の作品を一つ手に取り、名前を付けること。その作品を、触ったり、匂いを嗅いだり、写真に撮ったりして、次回の村上の展示まで、識別できるように覚えておくこと。次に自分の体の一部を、今あなたが名づけた作品と同じ名前で呼び、あなたが今した行為をその身体の一部に向けて繰り返すこと
3. モールス信号(会場内で微かに響くように聞こえてくる)
信号の内容は明かされていないが、展示タイトルの「透 明なま ま息し て」をモールス信号にしている。
ステートメント
「私がここにいる」と感じるための部屋を作る。
私にとって作品を制作することは、常に自分の存在を確かめ続けることであり、疑い続けることでもある。まるで鏡にうつる自分に対して「誰?」と問い続けるように。
私の姿を私自身が本当の意味で見ることは出来ないという事実に囚われながら、そこから逃げるための唯一の方法として、制作を続けているのだろう。
作品によって立ち現れる「私」は、鏡にうつる姿のように「私自身の像」のようなものだ。輪郭の無い私が部屋の中に潜む時、私の皮膚はどこまで続いているのか。
私という存在は、私の中だけの妄想かもしれない。なぜなら、ここに「私」がいると明確に感じられるのは世界に私だけだから。